【岐路に立つ旦那】安定収入をどうする?旦那が求める「ワークライフバランス」の真実

子育て事件簿
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 私は専業主婦として、長年、夫を支えてきました。
 決して高収入ではありませんが、このご時世、安定した収入源があることは何よりも安心できることです。

 しかし、その安定と引き換えに夫は心身ともに疲弊しています。
 最近では、その安定を手放してでも「ワークライフバランスを取り戻したい」と、転職をほのめかすようになりました。

 長年、会社組織の慣習に真面目すぎるほど向き合ってきた夫の苦しみを理解できる反面、「そこまで自分の意思を押し殺してきたのはなぜ?」という疑問も拭えません。

 この3年間、ブログに書くか悩んできた、夫の25年にわたる職場人生と、今、彼が立たされている岐路について、私なりに整理して綴ります。

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1. 就職氷河期のスタートと「先輩・上司ファースト」の10年

 夫が社会に出たのは、まさに就職氷河期の時代でした。
 私も同年代なので身に染みて分かりますが、やっと掴んだ職場で文句は言えず、誰もが歯を食いしばって新人として組織に尽くす日々でした。

  • 今の時代では理不尽な新人時代
    土日や年末年始、GWなどの長期休暇は、家庭を持つ先輩や上司を優先。
    仕事の質問をすると、まず中堅社員に自分で調べて考えてから聞け!」と言われたそうです。
    管理職とは、中堅社員を通さないと直接話すことも許されない環境でした。
  • 家庭より組織
    当時は、家庭を持つ先輩を優先することが当たり前。
    夫は自分の時間や家族との時間を犠牲にして、組織の論理に忠実に従い続けました。

2. 本店勤務の激務と「若手特有の雑務」

 勤務して10年を過ぎた頃、夫は本店勤務となります。
 本業以外に、各支店の業績報告の取りまとめや指示出しといった重要な業務が加わりました。

 しかし、本店勤務には特有の「雑務」も多かったようです。

  • 非効率な定時前勤務
    毎朝7時半には出勤し、重役や先輩たちの机を拭くこと、そして大手5紙の新聞(北海道・日経・読売・朝日・毎日新聞)に目を通し、関連記事を切り抜いてコピーし、8時半までに回覧できるように準備する作業です。
  • サービス残業の常態化
    毎日22時まで働き、残業時間は月間140時間にも達していました。
    しかし、残業手当として認められたのはわずか約28時間分、月4〜5万円程度。
    若かった当時は「この手当が嬉しかった」と聞いていますが、実質的な残業代は雀の涙です。 -余談ですが、土日や連休中の新聞切り抜きのために、わざわざ図書館にメモしに行ったという話を聞いたときは、「やりすぎでは?」と感じました。これは、休み明けに読む紙面が多く8時半までの回覧を間に合わすために、図書館に行って事前に切り抜く新聞をリサーチしていたそうです。-

 本店勤務2年目の時に私と結婚しましたが、新婚旅行の休暇も土日含めてたった5日間。
 支店の慣例である9日間を本店では取れない、という組織のルールに従うことに、夫自身も「支店のために自分が頑張らなければならない」という強い責任感を持っていたようです。

3. 係長としての転機と「形だけの育児休暇」

 勤続15年を超え、支店の係長として転勤しました。
 ちょうどその頃、子どもが生まれます

  • 育児休暇のジレンマ
    会社が育児休暇の取得率を上げるために「1週間だけ取得してほしい」という要請が支店長からありました
    しかし、夫の部署は部下のいない一人係長
    休むと仕事が停滞するため、形だけの1週間を取得したのです。
    ―正直、出産後の私から見れば、1週間休まれても何も手伝いにならず、逆に邪魔でした。その後3人の子供が生まれましたが、夫の育休は全てこの1週間のみでした。-

 その後も、別の部署で3年間、毎朝7時10分から21時まで働き続ける日々が続きました。
 ちなみに、この時も残業は月80時間程度でした。
 残業代は月25時間分(金額にして5〜6万円程度)しか支給されていません。
 実態は毎日21時までの勤務で、サービス残業が常態化していました。

4. 組織の変革期と中間管理職の葛藤

 勤続20年を迎え、夫は管理職の一歩手前のポジションに就きました。
 この頃から、会社でも「ワークライフバランス」が重要視され始めます。

 夫の仕事は、管理職と部下職員の間に入り、業務の円滑な運営をすることでした。
 しかし、そこで壁に直面します。

  • 業務の押し付け
    部下の中には、家庭の事情を全面的に優先する職員がいました。
    彼・彼女らは「私の権利だから休暇は最優先で取る」「できなかった仕事は管理職が考えるのが仕事」という姿勢でした。
    私から見れば、同じ子持ちなのに「そうではないでしょ」と思いますが、夫は「役職だから」「同じような境遇でも仕事を念頭に話をしてくれる人がいるから救われる」という理由で仕事を行っていました。-

 そんな時、夫が「自分は何のために働いているんだろう…」とポツリと漏らしたところ、家庭事情を優先する部下から返ってきた言葉は「生きていくためでしょ!そして役職でしょ!」という現実的な回答があったそうです。

 私は当時、夫に聞きました。
 「そこまで頑張る理由は?会社に尽くす理由は?」

 夫の返答は、「今まで自分を応援してくれた先輩たちを裏切ることができないから頑張れる」というもの。

 この言葉を聞いて、私は思わず感じました。
 「それは家庭のことじゃなく、自分の歩んできた職場人生の話だよね」と。
 もちろん、その職場を選んだのは夫自身。
 彼の考えを少しは尊重してあげたいという気持ちと家庭をもっと顧みてほしいという気持ちもありました。

 しかしこの状況を境に、夫が転職をほのめかすことが増えていきました。

5. 転機 I:異例の昇進と過渡期

 夫がこのポジションに早く就けたのは、社内では異例でした。
 しかし、その背景には、数年前から少しずつ中堅社員が辞めていったことによる、組織の欠員を埋める「玉突き人事」があったことが分かりました。

 夫が「裏切れない」とまで言っていた「自分を応援してくれた先輩たち」も次々と辞めていったことは、夫にとって大きなショックだったはずです。

6. 転機 II:管理職としての苦悩(現在)

 その後、勤続25年目で畑違いの部署の管理職へ。
 そこには仕事をしない定年間近な大先輩、仕事を選ぶ大先輩、そしてミスを指摘すると怒り出す再雇用の大先輩がいました。
 夫は「部署の仕事を回すだけで、精一杯だ」と愚痴をこぼしていました。

 そして現在、またも全く畑違いの部署の管理職に就いています。
 今回の「畑違い」というのは、例えるならこれまで営業を行っていた人が、急に製造担当となってものを作るくらい違う、異動だったそうです。
 若手4人体制の部署ですが、中堅となる4年目の職員2人は育児休業中。
 実質、2年目と1年目の新人2人だけ。

  • 中堅社員の不在
    先にも書いたように、夫が勤続20年目の頃から、彼のいた畑の中堅社員が少しずつ辞めていったことが大きな要因とあるようです。
    本来、管理職と若手を繋ぐ中堅社員が抜けたことで、今は管理職と若手のみの構図になっているそうです。
  • 管理職への過度な負荷
    本店からは「管理職が若手社員を社会人として指導育成を行い、現場や社内での仕事を覚えさせ、かつ管理職自らも実績を上げるように」という指令が来ています。

 旦那としては、自分の知識がない畑で一から調べながら、新人指導と実績上げを両立させなければならないという、「ワークが崩壊しライフも崩壊」しかけているような状況に追い込まれているような気がします。

 夫が新人時代にされた「自分で調べて考えてから聞け!」という指導は、今の若手には許されません。
 そこを分かった上で夫が理不尽と思うのは、中堅職員がいない中で、管理職である夫が手取り足取り教え、育て、実績まで出さなければならないことです。
 このため、仕事の基本的な流れを教えるにも、細かい内容は分からず、夫が一から調べることから始まり、そこに大変な時間が割かれている。

 そして、夫が一番苦しんでいるのは、この状況だと思います。

 自分の子どもたち3人。
 子どもたちの成長に寄り添ってあげたかったけれど、組織の論理を優先せざるを得ず、「してあげられなかった」という後悔を抱えています。
 自分の仕事を優先させた結果だと理解しているからこそ、その重みが今、のしかかっているのです。

 それなのに今、自分の家庭のワークライフバランスを崩壊させながら、若手社員を社会人として育成する、という大義がある。
 仕事だと割り切っていても、「なぜ、自分の子どもにしてあげられなかった時間を、会社のために他人の子(新人)にしてあげなければならないのか」というやりきれない気持ちが、夫の心を追い詰めているように聞こえてしまいました。

 現在、夫は管理職の立場にあるため、残業代は出ません。
 しかし、朝7時10分に仕事に出て、夜21時まで残業し、帰宅時間は22時を過ぎるのが常態化しています。
 実質的な残業時間は月に60〜80時間程度に及びます。

6. 安定の先に夫が求めるもの

 長年、会社組織に真面目に、献身的に努めてきた夫が、ついに心身の限界を感じ、「このままではいけない」と立ち止まりました。

  • 安定した収入は本当に必要か?
    具体的な金額は伏せますが、現状の安定した収入よりも、ワークライフバランスや精神的な健康を優先したいという気持ちが勝っています。
  • 夫の言葉の裏側
    夫の真面目さ、組織に対する素直さは美徳ですが、私には「自分の意思がどこにあったのか?」という疑問も残ります。
    しかし、彼のこれまでの努力と苦悩を一番近くで見てきたからこそ、「夫の人生にとって何が一番大切なのか」を一緒に見つめ直す時期だと感じています。

 今回の問題は、我が家にとって大きなターニングポイントです。
 疲弊しきった夫の笑顔を取り戻すためにも、私たちは今、大きな岐路に立たされていると思い今回ブログにしました。

 続きはまた今度、今日はここまで🌸
 明日も良い一日でありますように🌈

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